複数の任意後見人を置く場合や法人を任意後見受任者にする場合の注意点【福岡の行政書士による無料相談】

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複数の任意後見人や法人を任意後見人に選任する場合の注意点(2)

複数の任意後見人を置く場合の注意点

複数の任意後見人に、代理権限を分掌させ、単独代理を認める場合

この場合及び下記の「複数の任意後見人に、重複して代理権限を与え、単独代理を許す場合」の場合も、任意後見監督人が選任されるまでに任意後見受任者の1人が死亡したり、受任者の1人に不適格の事由が発生した場合であっても、他の受任者が適格であれば、その者について任意後見契約の効力を発生させることができます。

また、任意後見監督人の選任後に、任意後見人の1人が死亡しても、他の任意後見人の地位に影響を及ぼすことはありません。しかし、この場合は、死亡等により後見事務を行うことができなくなった任意後見人(任意後見受任者)が受任した事務を他の1人が代行できないところが、下記の「複数の任意後見人に、重複して代理権限を与え、単独代理を許す場合」の場合とは異なるところです。

複数の任意後見人に、重複して代理権限を与え、単独代理を許す場合

この場合は、複数の任意後見人の間で意見が異なると、代理権の行使をめぐって衝突や矛盾が生じかねませんので、任意後見受任者の人選に注意する必要があります。

任意後見人によるこのような衝突が起きることのないように、1人の任意後見人の死亡等を条件として他の任意後見人との間の任意後見契約が発効できるような任意後見契約にしたいとの希望に接することがありますが、そのような条件付任意後見契約は無効と解されていますので、注意が必要です。詳しくは、「予備的任意後見受任者」の項で見ていきます。

複数の任意後見人に、重複して代理権限を与え、共同代理を義務付ける場合

代理権の共同行使を定めた任意後見契約は、不可分な契約と解されているため、任意後見受任者の1人が死亡していたり、またはその1人に不適格事由があると、他の受任者が適格であっても任意後見監督人は選任されず、任意後見契約は発効しないことに注意する必要があります。

予備的任意後見受任者

任意後見契約は、任意後見監督人の選任により効力が生じる契約ですが、同契約に任意後見監督人選任以外の効力発生のための条件を付けることは、任意後見監督人の選任と任意後見契約の効力発生の時期に時間差が生ずることになるため、任意後見契約に関する法律(2条1号)の趣旨に反し、無効であると解されています。

したがって、複数の任意後見受任者を置いた場合に、その1人の死亡等を条件として、他の1人の任意後見契約を発効させることを内容とする、いわゆる予備的受任者を定める任意後見契約は無効と解されています。後見登記等に関する法律にもこのような予備的契約の登記を許容する規定はなく、登記の方法もありません。

したがって、複数の任意後見受任者(例えば乙・丙)の間に順位をつけたいと希望するときは、乙および丙を同順位の受任者とする任意後見契約を締結した上で当事者間の特約により、「一方が後見事務を遂行できる間は、他方は、後見人には就任するが、後見事務を行うことを差し控える旨の代理権行使の順序を定める合意をしておく」か「一方が後見事務を遂行できる間は、他方は、自己の契約について任意後見監督人の選任申請を差し控える旨の、任意後見監督人の選任申請の順序を定める合意をしておく」かの、2つの方法のいずれかによって解決するしかありません。

日本公証人連合会は、後者の特約の例として参考例分を発表しています。ただし、このような特約については、登記方法はなく、一方が特約に違反して他方の職務遂行中に任意後見監督人の選任の請求をしても、家庭裁判所はその特約には拘束されないことに注意する必要があります。

法人を任意後見受任者にする場合の注意点

任意後見人に選任される法人の資格に法律上の制限はありませんので、社会福祉協議会等の社会福祉法人、福祉関係の公益法人はもとより、弁護士法人・行政書士法人・NPO法人さらには信託銀行のような営利法人も任意後見受任者に選任することは可能です。

法人を任意後見受任者に選任するのが適当な例

  • 本人が比較的若く長期間の後見が予想される場合
  • 財産関係が複雑であるとか紛争性が高いなどの事由により組織的・専門的な対応が必要とされる場合
  • 本人に身寄りも財産もなく個人の任意後見受任者が見つからない場合

しかしながら、任意後見が本人と受任者の個人的な信頼関係に基礎を置く制度であることからすれば、通常は自然人を選任するのが自然であるといえます。

どのような法人を選任するかは、本人(委任者)の選択に委ねられていますが、選択にあたっては以下の点に注意する必要があります。

  • 営利法人については、本人の資産が法人の営利に利用される恐れはないか。また、破産のおそれはないか。
  • 担当者との間の信頼関係の構築・維持に問題はないか(その意味では担当者は固定されていることが望ましい)、また、担当者に任意後見事務の処理能力はあるか。
  • 本人が施設入所者の場合、当該施設を運営する公益法人を任意後見人にすると、利益相反の問題が生じるおそれはないか。
  • 担当者が本人に損害を与えた場合の法人の損害賠償能力はあるか。

本人が納得して選任した法人を任意後見受任者に選任した場合であっても、その法人に任意後見契約に関する法律(4条1項3号)記載の不適格事由がある場合は、任意後見監督人選任の申立てが却下され、任意後見契約は発効しないことになりますので、契約締結の段階でもこれらの事由がないか注意が必要です。

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