離婚原因
婚姻を継続し難い重大な事由
常識的に見て、離婚はやむを得ないと思われるものを指しますが、何が「重大な」事由であるかはかなり抽象的であり、最終的には裁判官の判断にかかってきます。
それひとつでは、離婚の決定に欠ける場合でも、2~3の事柄が重複して、それにより夫婦の関係が修復不可能なまでに破綻してしまい、結婚生活を継続するのが難しい状況にあるときは、離婚原因として認められることが多いようです。
以下、具体例について見ていきます。
性格の不一致
夫婦間のトラブルでは最も多いのですが、人それぞれ性格が違うのは当り前でもあるため、よって裁判で離婚の判決を得るのは難しいといえます。
夫婦関係が冷え切り、結婚生活を続ける見込みはまったくないのか、あるいは夫婦の努力によって離婚は回避できるのかなどを考慮して、法定上の離婚原因と認めるか否かは個々のケースによって判断が分かれます。
暴行・虐待・侮辱・粗暴
短気な性格、酒乱による暴行は離婚原因と認められます。また、浮気を疑い、ネチネチと責め続けるのは精神的虐待になります。
浪費癖・勤労意欲の欠如
夫に働く意思がまったくない、生活が困窮するほどギャンブルに熱中する、などの場合を指します。また、妻が収入に不釣り合いなほど高級品を買いあさる場合などもこれにあたります。
犯罪で服役
犯罪を犯したからといって即離婚を迫ることはできませんが、長期の懲役刑に服している、あるいは犯罪を繰り返すので結婚生活を続けることが困難である、などと判断されれば離婚原因として認められます。
配偶者の親族との不和
自分の親との関係改善のための努力を怠ったり、逆に対立を増長させた側の責任が問われます。夫が嫁・姑の不仲を知りながら放置する、あるいは母親の側に立って一方的に妻を責めるのであれば、夫に非があるとみなされます。また、夫が妻と母との関係改善の努力をしているのに、これにまったく耳を貸さない場合は、妻の責任が大きいといえます。
宗教活動
信仰の自由があるため、宗教活動そのものは離婚原因とはなりません。しかし、宗教にのめり込むあまり、家庭を顧みない、常識からかけ離れた行動をとる、などの行為は夫婦の協力義務の観点から離婚が認められます。
夫婦の性関係
肉体的欠陥による性的不能や長期にわたるセックスの拒否は離婚原因になります。また、嫌がる相手に異常な性関係を迫り続けることも離婚原因となります。
精神的障害
精神病以外の病気でも、その程度によって結婚生活の継続が困難だとみなされれば、離婚原因と認められます。
これらの事由を考慮して、最終的には「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか否かは、夫婦関係の修復の見込みを勘案し、裁判官が個々の事案ごとに判断することとなります。