離婚の方法と手続き
判決離婚
離婚調停が不調によって終了した場合には、離婚を求める夫婦の一方が原告となり他方を被告として夫婦のどちらかの住所地を管轄する家庭裁判所に対して離婚の訴えを提起することになります。
離婚訴訟を提起する場合でも、未成年の子どもがいる場合には離婚後の子どもの親権者を夫婦のどちらにするかを判決で決めるように求めることも必要になります。また、養育費・財産分与・慰謝料・年金分割の支払いなどの離婚に関係して決めておくべき事項についても判決で決めるよう求めることができます。
この離婚の訴えは、訴訟手続きによって民法が定めている離婚原因が存在するか否かを審理し、家庭裁判所が離婚原因が存在すると判断すれば、判決で離婚を命じると同時に親権者や養育費の額および財産分与や慰謝料なども具体的に決めるというものです。
一方に離婚の意思がない場合
被告側に離婚の意思がない場合でも、家庭裁判所が離婚原因があると判断した場合には判決で離婚を命ずると同時に親権者の決定や養育費・財産分与・慰謝料の支払いを命じたりします。
離婚訴訟の進め方
離婚訴訟は、原告となった夫婦の一方が訴状を家庭裁判所に提出することによって開始されます。家庭裁判所は訴状に請求原因として記載された離婚原因などに関する当事者の主張を聞いたうえで書証(証拠となる文書)や当事者及び証人の尋問手続きをもとに、原告が主張する離婚原因などに関する事実が実際に存在するか否かを判断し、離婚原因などの事実が存在するとの心証を得た場合には、離婚を命ずる判決をするとともに、判決で親権者を定めたり、養育費や財産分与および慰謝料の支払いを命じます。
判決確定後の手続き
離婚を命じる判決が確定すると離婚が成立しますが、この場合も判決確定の日から10日以内に判決書の謄本及び判決の確定証明書と一緒に離婚届を市区町村役場に提出しなければなりません。
参与員と家庭裁判所調査官による調査
離婚訴訟の場合には、法律専門家ではない一般市民の中から家庭裁判所が任命した参与員が離婚訴訟の審理などに関与し、裁判官は参与員の意見を聞いて判断をすることもあります。
また、裁判官が親権者や養育費・財産分与について判断する場合には、調停や審判の場合に必要に応じて家庭裁判所調査官が調査を行うことが認められているのと同様に、家庭裁判所調査官に必要な調査を行うことを命じ、この調査結果を踏まえて判断を行うこともあります。
訴訟上の和解による離婚
離婚に関する紛争は家庭や身分関係に関わる紛争ですから、離婚訴訟においても当事者の意向を尊重するために、訴訟中の和解手続きによって当事者間に離婚などに関する合意が成立する際には和解手続きによって離婚を成立させることも可能です。
和解成立後の手続き
調停による離婚の場合と同様に、離婚についての訴訟上の和解が成立したときに離婚の効力が生じますが、訴訟上の和解が成立した日から10日以内に、家庭裁判所が作成する和解調書の謄本と一緒に離婚届を市区町村役場に提出しなければならないことは、調停や判決による離婚の場合と同じです。