遺産分割の準備
遺言書の有無を確認する
自筆証書遺言は家庭裁判所で検認
初七日法要が終わってひと息ついたら、相続手続きの中核ともいえる遺産分割に向けて準備を始めていきます。
まず確認しておきたいのが、遺言書の有無です。遺産分割を終えた後に遺言が出てくると、一からやり直しになってしまいます。遺品を整理しつつ、遺言書が保管されていそうな場所を十分に調べましょう。
遺言書を見つけたら、法律で決められた手順を守ることが大切です。
公正証書遺言以外の遺言書、つまり自筆証書遺言などは、家庭裁判所で検認の手続きをしなくてはなりません。また、封印のある遺言書は、検認に先立ち家庭裁判所で開封することが定められています。
検認がないと遺贈による登記ができない
検認は、裁判所が遺言書の現況を記録して偽造・変造を防ぐという、一種の検証手続きです。遺言書の存在を相続人や受遺者などの利害関係人に知らせる目的もあります。
検認を怠ったり勝手に開封したからといって遺言が無効になることはありませんが、過料の処分を受けます。また実務上、検認済証明のない遺言書では不動産登記や銀行の名義変更などの手続きができません。
検認の請求は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申立書などを提出して行います。その後、検認期日が指定されますので、あらめて家庭裁判所に出向き、遺言書の原本を提出して検認を受けることになります。当日立ち会わなかった相続人などには、検認終了の通知が郵送されます。
遺言執行者がいるときはすぐに連絡
遺言に書かれた内容を実現することを遺言執行といいます。遺言執行者が指定されているときは、すみやかに連絡を取りましょう。遺言執行者は遺言の執行に必要な一切の権限を持ち、相続財産も遺言執行者が相続人などへ交付するかたちになります。
遺言執行者の指定がない場合は相続人が協力して遺言を執行することになりますが、必要に応じて家庭裁判所で選任してもらうこともできます。
「遺言書の有無の確認」のポイント
- 自筆証書遺言を見つけたら、速やかに家庭裁判所で検認を受ける。
- 封印のある遺言書は勝手に開封しない。