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任意後見制度を利用できる人(1)

任意後見契約の締結に必要な委任者の判断能力

任意後見契約に関する法律は、委任者の判断能力について特別の制限は設けていません。したがって、契約締結の意思能力さえあれば委任者として任意後見契約を締結することができます。

よって、未成年者・被保佐人・被後見人および被補助人であっても意思能力がある限り、以下に記載の一定の要件を満たしていれば任意後見契約を締結することができます。

未成年者または被後見人等が任意後見契約を締結するための要件

未成年者

  • 契約の締結について

本人が未成年者である場合にも、意思能力があれば未成年者自身で任意後見契約の締結ができます。ただし、他の契約締結の場合と同様に、親権者等の法定代理人の同意が必要になります。また、親権者等の法定代理人も未成年者を代理して任意後見契約を締結することができます。

  • 契約の効力発生について

任意後見契約の締結は、本人が未成年者であってもすることができますが、本人が未成年者である間は効力が発生しないことに注意が必要です。

本人が未成年者の間は、本人を保護する者として親権者等の法定代理人がいることから、本人の保護は法定代理人に任せれば十分に果たせるものであり、任意後見契約の効力を発生させることは、かえって、任意後見人と法定代理人との間で権限の重複または抵触が発生する危険性があることから、このような権限の重複または抵触などを避ける趣旨で、本人が未成年者である間は任意後見契約の効力が発生しないことにしたのです。

被後見人等

  • 契約の締結について

本人が後見開始・保佐開始・補助開始といった法定後見開始の審判を受けている場合にも、意思能力があれば法定代理人の同意を得て、または法定代理人が本人を代理して任意後見契約を締結することができます。さらに、補助開始の審判を受けている者でその補助開始の審判の際に特定の法律行為についての代理権付与のみの審判を受けており同意権付与の審判がなされていない場合には、被補助人は、補助人の同意なくして単独で任意後見契約を締結することができます。

  • 契約の効力について

本人が法定後見開始の審判を受けている場合において、任意後見監督人選任の申立てがなされた場合には、「当該本人にかかる後見・保佐・補助を継続することが本人の利益のため特に必要であると認めるとき」を除いて、原則として、家庭裁判所は、任意後見監督人を選任して任意後見契約の効力を発生させます。

そして、任意後見監督人の選任後、任意後見契約の効力が発生したときは、家庭裁判所は、当該本人に係る後見開始・保佐開始・補助開始の審判を取り消すことになります。

このように、法定後見開始の審判を受けている場合にも、任意後見契約の締結を認め、また、法定後見よりも任意後見契約の効力を優先させるのは、本人の希望・自己決定を尊重しようとする趣旨によるものです。

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