任意後見制度を利用できる人(2)
「親なき後」の保護のための任意後見契約の締結
知的障害者または精神障害者等の「親なき後」(親の老後や死後)の保護のために任意後見契約を利用する際には、以下の点に注意する必要があります。
本人が未成年者の場合
前述のように、本人が未成年者である場合でも、親権者等の法定代理人の同意があれば、意思能力がある限り未成年者自身で任意後見契約を締結することができます。また、親権者等法定代理人も未成年者を代理して任意後見契約を締結することができます。そこで、未成年者に意思能力がない場合には親権者が未成年者の代理人として任意後見契約を締結することになります。
ただし、前述したとおり、このようにして締結された任意後見契約は、本人が未成年者である間は効力が発生しないことに注意が必要です。
本人が成年者の場合
本人に意思能力がある限り、本人自身で任意後見契約を締結することができます。この場合には、未成年者の場合と異なり、親の同意は必要ありません。
本人に意思能力がない場合には、法定代理人が本人を代理して任意後見契約を締結することになります。そこで、まだ、本人について法定後見開始の審判を受けていない場合には、まずは、親を成年後見人等とする法定後見開始の審判を受ける必要があります。なお、法定代理人がいる場合は、法定後見制度の利用が「本人の利益のため特に必要であると認めるとき」には、任意後見契約の効力が発生しない点に注意が必要ですが、ここで本人(成年者)のために、その成年後見人等である親があえて任意後見契約を第三者と結ぶのは、自身の老後や死後の子の監護を図るためです。
身体障害者を委任者とする任意後見契約の締結
身体障害者も意思能力があれば、任意後見契約の締結をすることができます。しかし、任意後見契約の効力が発生するためには「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況」となることが必要なので、身体に障害があるという事由のみでは任意後見制度を利用することができないことに注意が必要です。
正常な判断能力を有する身体障害者は、第三者(受任者)と通常の委任契約を結んで、財産管理及び日常生活上の支援を委任することになります。