遺言でできること・遺言のメリット
遺言事項・遺言のメリット
家族のために遺言を残しておこう
まさかうちの家族に限って遺産争いなど起こるはずがない・・・。現に悲惨な相続争いを繰り広げている家族の被相続人も、生前はそう考えていたに違いありません。
どんなに仲の良かった家族でも、ちょっとした感情のもつれなどから相続トラブルは起こります。また、遺言を残しておかなかったばかりに、配偶者が住む家さえ失うこともあります。遺言の目的はいろいろですが、大切な家族を無用なトラブルから守ること、これが遺言の最大の目的です。
「遺産は法定相続分で分ければいい」と考えているのなら、それを遺言に残しておきましょう。遺言は自分の意思を伝える最後のチャンスです。
遺言でできること(遺言事項)
遺言でできることは相続分や遺産分割の指定だけではありません。遺言に記載することにより法的効力が生じる事項を遺言事項といい、下記のように多岐にわたっています。
反対に、これ以外のこと(付言事項)を遺言に書いても法的効力は生じないということになりますが、遺言は被相続人が家族などに残す最後のメッセージです。たとえば「葬儀は身内だけで行ってほしい」「死後、ペットの世話をしてほしい」「大学病院に検体してほしい」といったことは、本人の希望を伝えるものとしては意味のあることですので、積極的に記載するようにしましょう(その実現については遺族の判断に委ねられることになります)。
遺言事項の一覧
区分 | 項目 | 内容 |
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相続および 財産処分に 関すること |
遺贈 | 相続人または相続人以外の人に財産を残せる |
相続分の指定 およびその委託 |
法定相続分と異なる相続分を指定できる |
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遺産分割の方法の指定 およびその委託 |
誰にどの財産を相続させるかなどを指定できる |
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遺産分割の禁止 | 死後5年以内の期間で遺産の分割を禁止できる | |
共同相続人の間の 担保責任の指定 |
ある相続人が取得した財産に欠陥があった場合に、他の共同相続人はその損失を相続分の割合で分担しなければならない、という民法の規定を変更できる | |
相続人の廃除 および廃除の取り消し |
相続人の廃除または廃除の取り消しの意思を表示できる |
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特別受益の持戻しの免除 | 生前贈与を相続分に反映させない旨の意思を表示できる |
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遺贈減殺方法の指定 | 遺留分を侵害する遺贈が複数ある場合に、減殺の順序や割合などを指定できる |
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寄付行為 | 財団法人の設立を目的とした寄付の意思を表示できる | |
信託の設定 | 信託銀行などに財産を委託する旨の意思を表示できる | |
身分に 関すること |
子の認知 | 婚姻していない女性との間の子を認知することができる |
未成年後見人の指定・ 未成年後見監督人の指定 |
自分の死亡により親権者がいなくなる未成年の子について後見人を指定できる。また、その監督人を指定できる | |
その他 | 遺言執行者の指定 およびその委託 |
遺言の内容を確実に実行してもらうための遺言執行者を指定できる |
祭祀承継者の指定 | 祖先の墓や仏壇などの承継者を指定できる |
遺言執行者の指定
せっかく遺言を残しても、相続人の利害が対立してスムーズに相続手続きが進まないこともあります。遺言を適正かつ確実に実現させるためには、遺言執行者を指定しておくとよいでしょう。
遺言執行者には相続財産の管理や遺言の執行に必要な一切の行為をする権限が与えられ、同時にその義務を負います。また「認知」と「相続人の廃除と廃除の取り消し」の執行は、遺言執行者しか行うことができません。
遺言執行者には法律の知識や経験が求められますので、行政書士などに依頼すると安心です。
遺言のメリット
- 遺産分割の方法を指定しておけば、家族を遺産相続争いのトラブルから守ることができる。
- 内縁の配偶者・息子の嫁・世話になった知人などにも財産をあげることができる。
- 面倒を見てくれた子に多く財産を与えるなど、自分の意思を反映させることができる。
「遺言事項」のポイント
- 家族を相続トラブルから守ることが遺言の最大の目的。
- 遺言によって「できること」と「できないこと」がある。